アーカイブ映像:「チェルノブイリに学ぶ」ツアー報告

川井和子、春を呼ぶフォーラム代表
HD、30分26秒、英語+日本語字幕

井上まり弁護士、ヒューマンライツナウ・ニューヨーク
HD、22分 14秒、英語のみ

アナンド・グローバー弁護士記者会見、国連人権員会「健康に対する権利に関する特別報告者」
2012年11月26日、12分 47秒、英語+日本語字幕

(OurPlanet TVより)

福島第一原発事故後、一年半以上が経過しましたが、現場では、充分な健康調査がなされず、医療を受ける権利や自己の身体について知る権利が否定される深刻な事態が進行しています。周辺の広範な地域に居住する人々の健康は果たして適切に守られているのか、予想される被ばくリスクに対し、深刻な健康被害を防ぐための政府の措置は講じられているのか、深刻な懸念が表明されています。

昨年7月、国際人権NGOヒューマンライツ・ナウは市民団体等とともに、国連人権高等弁務官事務所と国連の独立専門家にあてて、この問題に関する事実調査ミッションの派遣を要請する書簡を送りました。こうした動きを受けて、今月11月15日から26日まで、国連「健康に対する権利に関する特別報告者」らが来日、原発事故後の放射能影響下にある、子どもをはじめとする周辺住民の「健康に対する権利」の実態調査を行うことになりました。また今月ジュネーブで行われた国連人権理事会による普遍的定期的検査の日本政府審査において、日本政府に対し、福島の人々の健康を保護するために必要な措置を取ることなどの勧告が出されました。

ヒューマンライツ・ナウNYでは、今回ニューヨークにて福島原発事故後の健康被害や検査体制に関する諸問題についての提言を行い、普遍的定期的検査における日本政府への勧告や、来日する国連特別報告者の役割について解説したいと思います。また、ゲストには「春を呼ぶフォーラム」の川井和子代表をお招きし、この夏ドイツのデルテ・ジーデントップフ医師(核戦争防止国際医師会議ドイツ支部)とアメリカのジェフリー・パターソン医師(社会的責任を果たす医師団代表)を日本へ招待した経緯や、横浜、島田、大阪、福岡、北九州の5 都市にて開催された放射能による健康被害についての講演会と、上記両医師の立会いのもと日本人医師による健康相談会の報告、原発事故後の日本の健康被害の現状と医療体制の問題点および今後の課題についてお話をいただく予定です。

日程 11月16日(金)午後12時から2時
場所 Bahai International Community United Nations Office, Conference Room
866 United Nations Plaza, Suite 120, New York, NY 10017 (48th Street & First Ave.)

企画団体:ヒューマンライツ・ナウ NY
ヒューマンライツ・ナウは法律家、研究者、ジャーナリスト、市民などが中心となって2006年に発足した日本を本拠とする国際人権NGOです。国境を越えて世界、特にアジア地域の人権侵害をなくすため、人権侵害に苦しむ地域への事実調査、実態の告発と意識喚起、政策提言とアドボカシー、草の根で人権を守る人々への支援とエンパワーメントを通じて、人権状況の改善のために活動しています。また、2011年3月11日に起こった東日本大震災を機に、震災問題プロジェクトを立ち上げ、被災された岩手県・宮城県・福島県におけ る災害状況下の人権擁護活動に取り組んでいます。その他、現地調査報告書の発表、国や県に対する政策提言、国連人権担当官を招聘しての トレーニングセミナーや報告会の開催、情報資料の翻訳・提供を行ってきました。 また2011年6月より岩手県・福島県へ弁護士を派遣し定期的に無料法律相談を提供しています。ヒューマンライツ・ナウNYでは、震災や原発事故で被災した方や現地の声を国際社会に届けるお手伝いをしています。

協力団体:春を呼ぶフォーラム (Voices for Lively Spring)
3.11直後、東京で福島の避難者の支援を始めた川井和子代表が中心となり、日本国内に住む人々の安全な環境を守るため2011年12月に立ち上げられたプロジェクトです。科学者・ジャーナリストを招き、放射能の基本を学ぶ講演会、震災ガレキの広域処理に関する講演会を日本各地で主催するとともに、ガレキ問題では行政との交渉にも携わっています。また、「放射能基礎講座」と題する勉強会を日本とニューヨークで合計25回開催し、基礎的な知識の普及に努めています。今年5月には、京都大学原子炉実験所の小出裕章助教をニューヨークに招き、講演会を主催、記者会見をヒューマンライツ・ナウらと共催しました。この夏には、アメリカの社会的責任を果たす医師団のジェフリー・パターソン医師、ドイツの核戦争防止国際医師会議のドイツ支部のデルテ・ジーデントップフ医師の協力を得て、被ばくをテーマにした講演会ツアーと日本人医師による健康相談会を全国5都市で開催しました。

2012 Copy Rights, East River Films Inc

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アーカイブ映像:「チェルノブイリに学ぶ」ツアー報告」への2件のフィードバック

  1. こちらは川井和子さんの講演のベースになった報告書です。一部実際に語られた部分が抜けていますが、筆記録としてご参照下さい。

    「チェルノブイリに学ぶ」ツアー 報告
    川井和子(春を呼ぶフォーラム)
    皆さん、始めまして。「春を呼ぶフォーラム」の川井和子と申します。
    本日は、お忙しい所を、直前のご案内にもかかわらず、お運びいただき、ありがとうございます。これから、お話しすることは、実は、京都大学原子炉実験所の小出裕章さんを5月にお招きしたことに端を発しています。
    小出さんは、ゴールデンウィークの最後、5月3日にニューヨークで講演会、翌日に記者会見を行いました。記者会見は、井上さんの団体Human Rights Nowと、アメリカの反核医師の団体「社会的責任を果たす医師団 PSR」と私の「春を呼ぶフォーラム」が共催しました。PSRの現代表 Andy Canterと日本の医師2名、布施純朗さんと中山賢さんが参加してくれました。この講演会と記者会見は、ネット中継され、ヒット数が合計
    1万3千を超え、小出さんも驚かれました。
    記者会見の中で、低線量内部被爆の危険性について説明し、放射能汚染地区からの即時避難を呼びかけました。しかし、そのための方策については提案せず、日本で診察してくれるお医者さんについての情報も提供しませんでした。
    私は、その翌日、シカゴ大学主催のシンポジウムに出席しました。小出さんと福島の武藤類子さんも講師として招かれていました。PSRのパターソン医師も講師の1人です。シンポジウムの後の食事会、その翌日のマンハッタン計画の実験炉の見学会でご一緒し、パターソン医師から沢山のことを学びました。
    日本での被爆状況を考えると、医師のネットワークと避難者支援のネットワークの構築が早急に急がれます。ことに、行政への不信がここまで大きくなっている現在では、民間レベルで何とかしないといけません。まず、患者にとっては、一般の開業医が最初の窓口になりますが、医師に被爆についての知識があまりにもないのです。
    ニューヨークに帰り、小出イベントの後、何をするか考えました。日本の開業医は、原子力科学者や原子力物理学者の言うことは無視するかもしれないが、同僚である臨床医の言うことなら聞くであろうと、私は考えました。
    しばらくして、パターソン医師がこの夏、日本に行くと言っていたことを思い出し、ちょっとリサーチした結果、核戦争防止国際医師会議IPPNWの広島世界大会のことだとわかり、その前後に日本で講演会をしてもらいたいと思うようになりました。確かにこの世界大会出席であることを確認し、講演の依頼も承諾していただいたのです。
    それから、私の実家のある静岡と同じ程度にチェルノブイリの当時、汚染された、例えば、ドイツやオーストリアについて話をしてくれるお医者さんを探しました。お医者さんさがしで紆余曲折はあったのですが、チェルノブイリの支援活動を20年以上続けている、ドイツのデルテ・ジーデントップフ医師が快諾してくれました。
    そして、講演会の計画を日本でガレキ問題で一緒に活動してきた人たちに話し、計画が段々と広がり、開催場所も1ヶ所から5ヶ所になりました。各地の皆さんに医師のネットワークと、避難者支援のネットワークの構築を始めようと呼びかけました。
    いろいろな妨害がありましたが、ともかく全国5ヶ所で実行委員会が立ち上がりました。首都圏は横浜、ガレキ問題の静岡県島田市、避難者が多いのにガレキが問題になっている、大阪と北九州、そして、小出裕章講演会が第2部に来る福岡です。医師の来日の日程から逆算するので、本当なら6ヶ月必要な準備期間が2ヶ月しかなく、準備不足の面も多々ありました。また、実行委員会のイベント運営の経験も、ほぼプロ並みのところから、初心者のところまでありました。
    チェルノブイリ・ハートのマリアン・デレオ監督が、直前にキャンセルし、その代わりの人を探すなどの困難もありました。ウクライナ系アメリカ人の小説家・ドキュメンタリー作家のイレーネ・ザビトコさんが日本に行ってくれることになり、講演会の中で、チェルノブイリについてのエッセイを朗読してくれました。
    では、配布物の3ページのツアー概要をご覧下さい。米独医師の講演、アカデミー賞受賞のドキュメンタリー映画「チェルノブイリ・ハート」の上映と監督挨拶、そして、日本人医師による健康相談会の三本立てに決定しました。ジーデントップフ医師は、チェルノブイリ支援から得た経験を語り、パターソン医師は、核実験や原子力事故のおそろしさを話しました。ミニ・シンポジウムや避難者のお話もありました。
    各地で実行委員、協賛者、支持者、ロビー展示 出展者、当日会場ボランティア等々が非常に頑張ってくれて、イベントは成功に終わりました。
    ご案内の期間があまりに短かったので、出席者数は各地で160から200名でしたが(データ編が4ページにありますのでご参照ください)、イベント終了後その噂が流れ始めました。10月には、この報告書を出版し、各地の実行委員会、協力医師、報道などの関係者にお送りしました。福岡の実行委員会代表は、ガレキ問題に関連して、福岡県知事にも手渡ししたそうです。また、各地の避難者のお母さん方、それから、反原発のグループは、この報告書を勉強会で使用しているそうです。お医者さん方のグループのお目にもとまったようです。
    では、簡単に各地の報告をします。
    まず、横浜です。横浜の汚染は千葉・東京ほどひどくなく、と言っても、土壌汚染が300-400Bq/kgです。高濃度汚染の千葉・東葛地区から「ミニ避難」する人たちも多いそうです。ご主人は東京に通勤できるからです。実行委員会は、地元のお母さんグループが中心になりました。健康相談会が非常に込み合いまして、当日、予約なしで見えた方も多かったのですが、日本人医師を6名しか手配できなかったので、時間の都合上、患者さんは50組で打ち切らせてもらいました。皆さん、夜の講演会も非常に熱心に聞いておられました。
    島田は、静岡県の人口10万人の小都市で、ガレキ問題で全国的に有名になりました。実行委員会は、地元の住民サイドの医療を考える会が中心になったため、講演会には地元の医師が20名以上みえたそうです。県内に福島県から避難している方には全員、健康相談会のお知らせを送ったのですが、申し込みが全くありませんでした。首都圏から避難の方と県内の方が相談にみえました。県内の医師の協力も得られず、岐阜の松井先生と京都の三宅先生が担当しました。双葉町の避難者の方のお話は、配布物の中にあります。これからわかるのは、避難が出来る人は、事前知識があった人です。
    大阪は、ガレキ問題の方たちが実行委員会の中心でした。一日中のイベントの一部として、私達は参加しました。埼玉から避難のお医者さんが健康相談会を担当しました。首都圏から避難の方は、涙ながらに子どもの甲状腺異常を訴えておられました。ジャーナリスト、郡山市議や避難者などのお話、ミニ・シンポジウムがありました。
    福岡は、地元で住民運動を長年やってこられた原とよのりさんが実行委員会の中心になりました。ミニ・シンポジウムでは、福島や東日本から避難の方たちが意見を述べられました。先月の末に、井上さんのHRNが主催した討論会に出られた福島県で移動保育を行っている、わたなべかずみさんが、お話をしています。夜は、小出裕章さんの講演会になり、外国人医師には私が通訳して、お二人とも熱心にお聞きになっていました。
    北九州が最後の開催地です。実行委員会は、ガレキ反対活動の先頭に立っている村上聡子さんが代表になりました。主婦の村上さんは、政治を変えなければ何も起こらないことがわかり、最近、北九州市の市議会議員に出馬を表明しました。地元の北川医師や、避難者の斉藤弁護士をまじえて、シンポジウムがありました。北九州や福岡市では、ガレキの試験焼却により、健康被害が出ています。そのため、健康相談会も10名の予約があっという間にうまったそうです。
    さて、ツアーの健康相談会の部分の総括が6ページにあります。外国人医師を環境ジャーナリストの青木泰さんが、ツアー最終日に北九州でインタビューしています。YouTubeでもご覧いただけます。私が通訳をしています。
    両医師ともIPPNWの世界大会とPeace Boat等の主催した福島県の視察で、十分な情報を得ていたと思ったのですが、ツアーの健康相談会に立会い、現状が思ったよりひどいことに驚いています。
    症状はどこでも同じです。鼻血、皮膚病、下痢、呼吸器疾患、耳の後の痛み、口内炎等々です。そして、甲状腺異常です。今、福島の甲状腺異常が報道されていますが、首都圏の避難者にも出ていることが今回わかりました。
    また、福島県の甲状腺検査の結果の取扱(2年間再検査なし)には非常に憤慨されていました。6ヶ月に1回、もっと状態が悪い場合には2ヶ月に1回、検査をするのが国際的な医学常識だそうです。
    また、甲状腺ガンは4年後に出てくるという話は、チェルノブイリのデータに基づいているのですが、ジーデントップフ医師によれば、チェルノブイリでは日本に現在あるような精密な検査機器がなく、触診でガンを診断していたこと、4年後位にようやく、甲状腺のエコーの機械が大都市に入ってきて、現在では小都市にもあることが指摘されました。
    20年以上、チェルノブイリの人たちのために支援プロジェクトを行って来た経験から、ジーデントップフ医師は、保養の重要性を強調しています。フランクフルト近郊の自分の町の人を巻き込んで、20年間に1000人もの人たちを、自分の町に 夏に連れてきて、ホームステイをさせて、治療できることは治療してベラルーシに帰しています。
    甲状腺異常は、非常に稀な病気なので、専門医が非常に少なく、そのため、患者に対応できる医師が日本にはほとんどいません。健康相談会では、患者のことを笑ったり、耳を貸さない医師のことが繰り返し出てきました。医師の知識不足とそれを認めたくないプライドの高さのために、そのような事態に至るのではないかと思われます。
    家庭の問題もあります。自主避難の場合、母子のみの避難が多く、経済的・精神的に非常に追い詰められている中で、子どもや自分の健康被害の問題があるのです。心のケアと経済的援助も非常に求められています。
    また、被爆治療の知識のある医師が、汚染地だけでなく、日本全国で求められていることがわかりました。チェルノブイリ入りした日本人医師は沢山いますが、多くは福島に注力され、他の地域まで手が回りません。しかし、患者は日本のどこにでもいるのです。福島や東京からの避難者だけでなく、地元の人もです。これが低線量被爆の現実だったのです。
    「春を呼ぶフォーラム」の次のステップは、何でしょうか。
    医師のネットワークの構築は、ともかくも端緒につきました。各地の実行委員会では引き続き、被爆による健康被害のある患者さんを支援したいという地元の医師と調整を続けています。5都市以外でも、避難者のお母さんグループを中心に、医師をみつける努力をしてもらっています。私も、各地のお医者さんに連絡を続けています。これらを全国的につなげてゆくことが、私の次のプロジェクトだと思います。
    その反面、避難者支援ネットワークの方は課題として残っています。勿論、福島の子どもたちを避難させることが最優先です。郡山の集団疎開裁判は、多くの人の努力にもかかわらず、今だ、係争中です。また、一時避難所、兼、保養所として機能する「シェアハウス」という物が全国で、できつつあります。この二つが、今、お手伝いできることかなと考えています。
    ご清聴ありがとうございます。休憩時間に入る前に、今回のツアーでウクライナ系小説家のイレーネ・ザビトコさんが朗読した「チェルノブイリから福島へ」というエッセイをレイチェルさんに読んでいただきます。スクリーンに映るのは、イレーネさんがチェルノブイリで撮影した短編のドキュメンタリーです。

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